サブロー通信は、アースアイズ代表 山内三郎が配信するメルマガです。
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2025.12.17

「仏に逢うては、仏を殺し」~ 固定観念という“偶像”を壊す勇気 ~

少し過激に聞こえるかもしれないのですが、禅のある言葉をご紹介します。
それは、「仏に逢うては、仏を殺し(逢仏殺仏)」という言葉です。

「仏様を殺すなんてとんでもない!」と思われるかもしれませんが、これは中国唐代の
禅僧・臨済義玄(りんざい・ぎげん)が残した、非常に本質的な教えです。

私の勝手な解釈ですが、ここで言う最初の「仏に逢うては、」の最初の仏と後から出てくる
「仏を殺し」の仏は違う対象を指していると理解しています。

最初の「仏教の中にある本物の真理」を指し、「仏を殺し」は自分の頭の中で作り上げた
「仏=真理の固定観念」を指すのだと思います。

逢仏殺仏は、「真理を見出す機会に本当に恵まれたならば、今までの固定観念を完璧に捨てて、
その真理に委ねなさい」という意味(山内の私訳)だと勝手に感じています。

臨済は、修行僧たちが経典や仏像といった「形式」ばかりに囚われ、自分自身の目で見たもの
だけを信じようとする心を戒めました。たぶん、臨済は本当の悟りを知っていたのでしょう。
だからこそ、目で見たもの、頭で考えたものにこだわっても真理が生まれないことを説いたの
です。

「自分の中にある固定観念」や「権威への依存」、あるいは「過去の成功体験」にこだわるこ
とに前進はありません。これを、現代の私たちのビジネスや経営に置き換えると、ハッとする
ものがあります。

■ ビジネスにおける「仏」とは何か?

私たちにとっての「殺すべき仏」とは何でしょうか。
それは、業界の「常識」であり、「前例」であり、時に「自社の過去の成功」です。

「この業界は昔からこうだ」
「前回うまくいったから、今回も同じ方法でいい」
「偉い先生(権威)が言っているから間違いない」

こうした思考停止の状態こそが、臨済の言う「仏(=悟りを阻む障害物)」です。変化の激し
い現代において、過去の常識や権威にすがっていては、新しい価値を生み出すことはできません。

■ 破壊なくして、創造なし

私たちは今、AIカメラという技術で「安心・安全」の形を変えようとしています。

従来の防犯が「起きたことを録画する(事後対応)」という常識(=仏)に囚われていたとし
たら、私たちが目指す「予知・予防する(未然防止)」という新しい世界は拓けません。

「仏に逢うては、仏を殺し」

この言葉は、私たちへの強烈なエールです。
「誰かが作った正解」を探すのではなく、目の前の現実を自分の目で見て、自分の頭で考え、
新しい答えを作っていく。固定観念という偶像を壊したその先にこそ、真に人々の心を豊かに
するイノベーションが待っています。

常識を疑い、形式を破る。
そんな野生味あふれる精神で、今後も突き進んでいきましょう。

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