サブロー通信

サブロー通信は、アースアイズ代表 山内三郎が配信するメルマガです。
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2022.07.12

娘のための父親の土下座

万引き犯を捕捉する私服保安員のAは、長年の勘で「万引きをしそうな緊張感を持った顔をした人」と「普通に買い物をしに来た人」を見分けることができるといえるほどの自信を持っていました。

そんなベテラン保安員Aが、女子高校生に人気のファンシーショップで警備に当たっていた時の話です。

Aがいつも通り警備に当たっていると、一人の女子高校生が入店しました。
地元の有名女子校の制服を着ている彼女を見た時、Aは万引き犯特有の「緊張」を感じました。
普段であれば、その制服をみて万引き犯として疑うことはほとんどないのですが、どうも様子がおかしいように思い、Aは彼女に気づかれないように、一つ離れた什器の陰から注意深く見ていました。
彼女には、万引き犯に見られる目立ってキョロキョロするなどの動きはありませんでしたが、周囲の気配を感じ取りながら商品の前にたたずみ、他の買い物客がいなくなるのを待っているかのような動きがみられました。

しばらく見ていると残念ながらAの勘は当たってしまい、女子高校生は周りに人がいなくなるとかなり大胆に化粧品を2つ自分のカバンに入れました。
通常、万引き犯は犯行の際も周囲の様子を窺うものですが、彼女はあたかも自分が持ってきた化粧品のように自分のカバンに入れたのです。その自然さは、最初から行為を見ていなければ発見することが出来なかったかもしれません。

Aは、会計をせずに店を出ようとする女子高校生に出入口で声をかけて、捕捉しました。彼女は、驚いた顔でAの目を凝視しましたが声は上げず、落ち着いて店舗のバックヤードにある事務所に促されるままについてきました。

事務所では、女子高校生は言葉少なく、Aの指示通り万引きした商品と学生証を出しました。Aが、彼女に保護者に迎えに来てもらわないとならないことを伝えると「母親には連絡したくない」と強く拒否をしました。
店のルール上、未成年の万引き犯を一人で帰宅させてはならないことになっており、どうしても拒否する場合は警察に届けることになると
伝えると、彼女は店から1時間程度の会社で勤務する父親の連絡先を言いました。

店長は、少しあきれながらも父親に連絡をし、彼女には「1時間以内にお父さんが来なければ、警察に連絡をする。こちらも忙しい」と告げました。

その後、一時間もかからず父親が事務所に駆け込んできました。

英国紳士風の身なりで地位の高さを感じさせる父親を見て、Aは少し身構えました。
なぜなら、親の中には万引きをした子供を責めるのではなく、万引きを捕まえた保安員を責めてくる「逆切れする親」が少なからずいることを過去の経験から知っていたからです。

父親は、女子高校生の顔を見ただけで何も会話はせず、店長に近づき顔を見つめてから、事務所の汚れた床を少し眺めました。
そして、突然すべてを投げ捨てたかのような勢いで地面に這いつくばって、土下座をしたのです。

「誠に申し訳ございません。すべては、私の責任です。警察には通報しないでください。私が娘の代わりに警察に行きます」

Aはその父親の姿とその姿を見つめる女子高校生の姿を交互に見て、この女子高校生は二度と万引なんて行為はしないだろうと感じました。

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