サブロー通信

サブロー通信は、アースアイズ代表 山内三郎が配信するメルマガです。
本ページでは、2019年4月〜現在までのサブロー通信をご覧いただけます。

2024.12.19

ハチャメチャが生んだ成長力

そして、この「伝説」を語り合う内輪のコミュニティが、次第に世間から孤立し、業界全

昭和の高度経済成長期。それは、混沌とした中で日本が奇跡的な経済発展を遂げた時代で
した。現代の視点から見ると、その時代の職場文化や社会のあり方には、到底容認できな
い行為や価値観があったかもしれません。しかし、昭和のハチャメチャさには、確かに
「成長を生む力」があったのも事実です。そして、現代アジアの急成長を目の当たりにす
ると、同じようなエネルギーを感じずにはいられません。

【昭和時代のハチャメチャな上司とカリスマ経営者】

昭和の職場には、今では考えられないような上司や働き方がありました。
「これが仕事だ!」と飲み会を強制し、酔った勢いで部下を叱咤激励する上司。何の根拠
もなく無理難題を押し付け、「やってみせろ」と突き放す一方で、やり遂げれば全力で褒
め称える。女性には「早く結婚しないのか?」と言い放つ。確かに、これは現代の職場で
はパワハラやセクハラとみなされる行為ですが、その中からたくましい人材が育ったのも
また事実です。

このようなハチャメチャさが、昭和の日本を経済大国へと導いた原動力だったのかもしれ
ません。そして、現代アジアを見てみると、成長を支えるエネルギーの源泉に、かつての
昭和と似た「勢い」を感じます。

【アジアの発展と交通ルールの不完全さ】

例えば、交通ルール一つをとっても現代のアジアの一部の国々ではまだまだ未整備な部分
が目立ちます。信号を無視する車、交通ルールを守らないで道路を渡る人々。それでも驚
くべきスピードでインフラが整備され、経済が発展していく姿は、昭和の日本の姿を彷彿
とさせます。

「ルールを守らない=発展しない」という固定観念は、ここでは通用しません。

むしろ、ルールの不完全さを力強いエネルギーに変え、混沌の中から新たな秩序を生み出
しているようにさえ見えるのです。

【カリスマ経営者の存在が生む力】

海外に目を向けると、スティーブ・ジョブズやイーロン・マスクのようなカリスマ経営者
が、週80時間以上働きながら、世界を変えるイノベーションを生み出しています。このよ
うな圧倒的な存在が、企業を牽引し、社会全体にインパクトを与えているのです。

一方、日本では、こうした圧倒的なリーダーシップを発揮する人物が少なくなったように
思えます。小さな問題にこだわり、周りは、袋たたきの批判を繰り返すだけでは、世界を
導く人材は生まれません。私たちが今本当に必要としているのは「圧倒的な存在感」を持
ち、全力で挑戦し続けるリーダーです。

【成長を支える「無秩序の中の秩序」】

昭和の日本も、現代のアジアも、共通しているのは「無秩序の中の秩序」です。
一見するとハチャメチャな中にあるエネルギーが、イノベーションを生み出し、成長を支
えてきたのです。厳格なルールや正論だけでは、突き抜けた成長は難しいのかもしれませ
ん。昭和の私たちの父の時代は、毎晩安い居酒屋で腕まくりをして、これからの日本の議
論をしている親父たちは多くいたと聞きます。そのようなパワーある方向性を取り戻せな
いものでしょうか?

【結論:小さな批判で大きな夢をつぶさないで】

昭和の時代のように、ハチャメチャで勢いのある文化を完全に否定するのではなく、そこ
から何を学び、どう活かすかを考えるべきです。現代の日本にも、世界を導く「圧倒的な
存在」が必要です。小さな問題を批判することにエネルギーを費やすよりも、未来を切り
拓く大きな夢を語り、行動する時代にしていきましょう。

ハチャメチャな上司や混沌とした環境が生んだ成長力をもう一度見直し、そこから得られ
る教訓を、未来の日本とアジアに活かしていく。それこそが、次なる成長を実現する鍵な
のではないでしょうか。

2024.12.10

どっち見て仕事しているの?~伝説を作りたがる業界がファンを減らす理由~

当時のテレビ解説者たちは「日本にノーベル賞受賞者が少ないのは詰め込み式の学習のせ
政界や芸能界、そしてテレビ業界には、「伝説づくり」という文化があるように思います。
特定の人物を過剰に持ち上げ、「伝説の人」として祭り上げる傾向です。このような文化
は、業界内部では盛り上がるかもしれませんが、外の世界、つまり一般の人々にはその価
値がわかりにくい場合が多いのです。

そして、この「伝説」を語り合う内輪のコミュニティが、次第に世間から孤立し、業界全
体の成長を妨げることになりかねません。

【自分たちだけの世界で盛り上がる危うさ】

昔、私が音楽業界に携わっていた頃、あるジャズ愛好家と話す機会がありました。
私はジャズの魅力を知りたくて質問を重ねたのですが、返ってきたのは冷たい一言。「わ
からない奴にはわからない」。本人のプライドとわからない人を子馬鹿にしたような言い
方・・・その瞬間、ジャズという音楽の素晴らしさをもっと理解したいと思っていた気持
ちはしぼんでしまいました。

このエピソードは、内輪の盛り上がりがどれだけ新しいファンを遠ざけてしまうかを象徴
として書いています。「わかる人だけがわかればいい」という姿勢は、新しいファンの獲
得を難しくします。その結果、業界は自ら狭い世界に閉じこもり、ファンを減らしてしま
うのです。それが、TVを取り巻く環境の中で政治、芸能界などに多くあるような気がしま
す。

【「わからない」を「わかる」に変える工夫】

どんな分野でもその魅力を外部の人々に伝える力が重要です。ジャズに限らず、政治やビ
ジネスの世界でも、専門用語や内輪だけで通じる論理では、外の世界には響きません。政
治家が一般市民に向けて政策の意義をわかりやすく説明する努力をすれば、もっと共感を
得られるかもしれません。同様に、業界関係者が「内向き」ではなく「外向き」に価値を
伝えることが、成長の鍵となるでしょう。

たとえば、「ジャズってどんな音楽なの?」という質問に対して、「感覚で理解しろ」と
突き放すのではなく、「この曲はこういう情景を思い浮かばせるよ」「このリズムは人生
の躍動感を表しているんだ」「曲の生まれた背景は。。。」といった形で説明すれば、
共感を呼ぶかもしれません。

【 業界の未来は「伝える力」にかかっている】

「伝説」を語ることは決して悪いことではありません。ただ、その「伝説」をいかに多く
の人と共有し、新しい価値観を生むかを考えることが重要です。わかる人たちだけで楽し
むのではなく、わからない人に寄り添い、魅力を伝える努力が、業界全体の成長を支える
基礎になるのです。

万人にわかってもらう工夫は今や大変な作業になっています。十人十色の思考に寄り添っ
て、視覚、聴覚、右脳、左脳に働きかけなければならないかもしれません。人の価値観は
様々で、バイアスを超えることはなかなか至難の業です。仮にそれを打破できた人が老若
男女や国・習慣を飛び越えて本物の伝説として、受け継がれていくのかもしれません。

【私たちができること】

「伝説」を共有し、「わからない」を「わかる」に変えるための工夫を凝らすこと。これ
が、業界を広げ、社会全体を豊かにするための鍵ではないでしょうか。

自分の仕事や属する業界において、内向きになりすぎず、外の人々にその価値を届ける努
力を続ける。それこそが、ファンを増やし、社会に良い影響を与える方法だと思います。

伝説を語るだけではなく、それを多くの人と共有できるようにしていきましょう。それが、
未来を切り開く力となるはずです。

2024.12.03

温故知新~多様性という言葉に飛びつく愚かさ~

「時代に合った生き方は大切だ。しかし、その時代の考えを否定することには意味がない」
これは、私が日々の中で改めて感じることです。
今は「多様性の時代」と言われ、さまざまな価値観が尊重される風潮があります。しかし、
時代が変わるたびに過去を否定し、新しいものばかりを良しとするのは本当に正しいので
しょうか?

<昔の「詰め込み式学習」が示したこと>

私が中学生だった頃、「詰め込み式学習」が批判されていました。
当時のテレビ解説者たちは「日本にノーベル賞受賞者が少ないのは詰め込み式の学習のせ
いで独創性が失われているからだ」と声高に主張していたのを覚えています。
しかし、それだけが原因だったのでしょうか?

詰め込み式学習は確かに欠点もありましたが、それが膨大な基礎知識を身につける機会を
提供していたことも事実です。この基礎知識があったからこそ、多くの技術者や研究者が
活躍できたのです。「独創性を削ぐ」と批判された詰め込み学習がなければ、現在の日本
の学術的な土台はどのようになっていたのか、想像もできません。

その後、「ゆとり教育」という新しい学習方針が登場しました。しかし、それが本当に日
本の教育に良い影響を与えたのか、きちんとした検証はされないままです。こうした教育
政策の変遷を見ると、誰も責任を取らずに変化だけを進めているように感じます。これは
教育だけでなく、多くの分野に共通している問題です。

<労働時間の短縮と収入の課題>

近年、日本の収入が伸び悩んでいると言われています。
その背景には、労働時間と収入が密接に結びついていた日本の働き方が変化したことがあ
ります。かつては長時間労働が当たり前であり、それが収入の大部分を支えていました。
しかし、コロナ禍の影響と働き方改革が進む中で労働時間が短縮され、結果として収入が
減少しています。

例えば、2020年のデータによると、残業時間の大幅な減少により、所定外給与が前年比で
24.6%も減少しました。この影響は特に生活関連サービス業や製造業などで顕著でした。
ただ、これを単純に「収入が減った」とだけ捉えるのではなく、日本の労働環境がどのよ
うに進化してきたかを理解する必要があります。

また、日本の給与水準が国際的な指標と比較されて低いと指摘されていますが、物価が比
較的安定していることや国内の生活環境が整っていることを忘れてはいけません。一方で、
働き方改革が単に「時間を削る」ことだけに終わってしまい、生産性や効率化が十分に進
まなかった点は反省すべき部分です。人で不足の業界がある中で、働き改革を進めなけれ
ばならない矛盾をだれも説明しません。
特に公共部門が率先してDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するべきでした
が、そこが欠けているのが現状です。

<長時間労働の価値と課題>

一方で、イーロン・マスクのように週80時間以上働く超ハードワーカーが注目されること
もあります。彼のような働き方からは、「仕事への情熱」や「成果を出すための努力」の
重要性を学ぶことができます。しかし、長時間労働がすべての人に適しているわけではあ
りません。

私たちが目指すべきなのは、「効率的に働くこと」と「個々の価値を最大化すること」で
す。時間の長さではなく、その中でどれだけの価値を生み出せるかが重要です。

<過去を否定せず、未来へ活かす>

時代に合った生き方を追求することは確かに重要です。しかし、過去を否定してしまうこ
とは、新しい価値を生み出す力を弱めることにもなりかねません。過去の考え方には、そ
の時代なりの意味と価値があり、それを理解して未来へ活かすことが本当の多様性ではな
いでしょうか。

私たちは、時代の変化を受け入れながらも、その背景にある歴史や価値観を尊重し、新し
い時代を築いていく必要があります。そのためには、過去を「否定」するのではなく、
「活かす」ことが求められるのです。

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