ハチャメチャが生んだ成長力
そして、この「伝説」を語り合う内輪のコミュニティが、次第に世間から孤立し、業界全
昭和の高度経済成長期。それは、混沌とした中で日本が奇跡的な経済発展を遂げた時代で
した。現代の視点から見ると、その時代の職場文化や社会のあり方には、到底容認できな
い行為や価値観があったかもしれません。しかし、昭和のハチャメチャさには、確かに
「成長を生む力」があったのも事実です。そして、現代アジアの急成長を目の当たりにす
ると、同じようなエネルギーを感じずにはいられません。
【昭和時代のハチャメチャな上司とカリスマ経営者】
昭和の職場には、今では考えられないような上司や働き方がありました。
「これが仕事だ!」と飲み会を強制し、酔った勢いで部下を叱咤激励する上司。何の根拠
もなく無理難題を押し付け、「やってみせろ」と突き放す一方で、やり遂げれば全力で褒
め称える。女性には「早く結婚しないのか?」と言い放つ。確かに、これは現代の職場で
はパワハラやセクハラとみなされる行為ですが、その中からたくましい人材が育ったのも
また事実です。
このようなハチャメチャさが、昭和の日本を経済大国へと導いた原動力だったのかもしれ
ません。そして、現代アジアを見てみると、成長を支えるエネルギーの源泉に、かつての
昭和と似た「勢い」を感じます。
【アジアの発展と交通ルールの不完全さ】
例えば、交通ルール一つをとっても現代のアジアの一部の国々ではまだまだ未整備な部分
が目立ちます。信号を無視する車、交通ルールを守らないで道路を渡る人々。それでも驚
くべきスピードでインフラが整備され、経済が発展していく姿は、昭和の日本の姿を彷彿
とさせます。
「ルールを守らない=発展しない」という固定観念は、ここでは通用しません。
むしろ、ルールの不完全さを力強いエネルギーに変え、混沌の中から新たな秩序を生み出
しているようにさえ見えるのです。
【カリスマ経営者の存在が生む力】
海外に目を向けると、スティーブ・ジョブズやイーロン・マスクのようなカリスマ経営者
が、週80時間以上働きながら、世界を変えるイノベーションを生み出しています。このよ
うな圧倒的な存在が、企業を牽引し、社会全体にインパクトを与えているのです。
一方、日本では、こうした圧倒的なリーダーシップを発揮する人物が少なくなったように
思えます。小さな問題にこだわり、周りは、袋たたきの批判を繰り返すだけでは、世界を
導く人材は生まれません。私たちが今本当に必要としているのは「圧倒的な存在感」を持
ち、全力で挑戦し続けるリーダーです。
【成長を支える「無秩序の中の秩序」】
昭和の日本も、現代のアジアも、共通しているのは「無秩序の中の秩序」です。
一見するとハチャメチャな中にあるエネルギーが、イノベーションを生み出し、成長を支
えてきたのです。厳格なルールや正論だけでは、突き抜けた成長は難しいのかもしれませ
ん。昭和の私たちの父の時代は、毎晩安い居酒屋で腕まくりをして、これからの日本の議
論をしている親父たちは多くいたと聞きます。そのようなパワーある方向性を取り戻せな
いものでしょうか?
【結論:小さな批判で大きな夢をつぶさないで】
昭和の時代のように、ハチャメチャで勢いのある文化を完全に否定するのではなく、そこ
から何を学び、どう活かすかを考えるべきです。現代の日本にも、世界を導く「圧倒的な
存在」が必要です。小さな問題を批判することにエネルギーを費やすよりも、未来を切り
拓く大きな夢を語り、行動する時代にしていきましょう。
ハチャメチャな上司や混沌とした環境が生んだ成長力をもう一度見直し、そこから得られ
る教訓を、未来の日本とアジアに活かしていく。それこそが、次なる成長を実現する鍵な
のではないでしょうか。