サブロー通信

サブロー通信は、アースアイズ代表 山内三郎が配信するメルマガです。
本ページでは、2019年4月〜現在までのサブロー通信をご覧いただけます。

2024.12.10

どっち見て仕事しているの?~伝説を作りたがる業界がファンを減らす理由~

当時のテレビ解説者たちは「日本にノーベル賞受賞者が少ないのは詰め込み式の学習のせ
政界や芸能界、そしてテレビ業界には、「伝説づくり」という文化があるように思います。
特定の人物を過剰に持ち上げ、「伝説の人」として祭り上げる傾向です。このような文化
は、業界内部では盛り上がるかもしれませんが、外の世界、つまり一般の人々にはその価
値がわかりにくい場合が多いのです。

そして、この「伝説」を語り合う内輪のコミュニティが、次第に世間から孤立し、業界全
体の成長を妨げることになりかねません。

【自分たちだけの世界で盛り上がる危うさ】

昔、私が音楽業界に携わっていた頃、あるジャズ愛好家と話す機会がありました。
私はジャズの魅力を知りたくて質問を重ねたのですが、返ってきたのは冷たい一言。「わ
からない奴にはわからない」。本人のプライドとわからない人を子馬鹿にしたような言い
方・・・その瞬間、ジャズという音楽の素晴らしさをもっと理解したいと思っていた気持
ちはしぼんでしまいました。

このエピソードは、内輪の盛り上がりがどれだけ新しいファンを遠ざけてしまうかを象徴
として書いています。「わかる人だけがわかればいい」という姿勢は、新しいファンの獲
得を難しくします。その結果、業界は自ら狭い世界に閉じこもり、ファンを減らしてしま
うのです。それが、TVを取り巻く環境の中で政治、芸能界などに多くあるような気がしま
す。

【「わからない」を「わかる」に変える工夫】

どんな分野でもその魅力を外部の人々に伝える力が重要です。ジャズに限らず、政治やビ
ジネスの世界でも、専門用語や内輪だけで通じる論理では、外の世界には響きません。政
治家が一般市民に向けて政策の意義をわかりやすく説明する努力をすれば、もっと共感を
得られるかもしれません。同様に、業界関係者が「内向き」ではなく「外向き」に価値を
伝えることが、成長の鍵となるでしょう。

たとえば、「ジャズってどんな音楽なの?」という質問に対して、「感覚で理解しろ」と
突き放すのではなく、「この曲はこういう情景を思い浮かばせるよ」「このリズムは人生
の躍動感を表しているんだ」「曲の生まれた背景は。。。」といった形で説明すれば、
共感を呼ぶかもしれません。

【 業界の未来は「伝える力」にかかっている】

「伝説」を語ることは決して悪いことではありません。ただ、その「伝説」をいかに多く
の人と共有し、新しい価値観を生むかを考えることが重要です。わかる人たちだけで楽し
むのではなく、わからない人に寄り添い、魅力を伝える努力が、業界全体の成長を支える
基礎になるのです。

万人にわかってもらう工夫は今や大変な作業になっています。十人十色の思考に寄り添っ
て、視覚、聴覚、右脳、左脳に働きかけなければならないかもしれません。人の価値観は
様々で、バイアスを超えることはなかなか至難の業です。仮にそれを打破できた人が老若
男女や国・習慣を飛び越えて本物の伝説として、受け継がれていくのかもしれません。

【私たちができること】

「伝説」を共有し、「わからない」を「わかる」に変えるための工夫を凝らすこと。これ
が、業界を広げ、社会全体を豊かにするための鍵ではないでしょうか。

自分の仕事や属する業界において、内向きになりすぎず、外の人々にその価値を届ける努
力を続ける。それこそが、ファンを増やし、社会に良い影響を与える方法だと思います。

伝説を語るだけではなく、それを多くの人と共有できるようにしていきましょう。それが、
未来を切り開く力となるはずです。

2024年12月
« 11月   1月 »
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

月別アーカイブ

HOME
Service+
Lab+
Archive+
Company+
Contact