日本のDX導入のための取扱説明書
当社では、日本特有の状況に適応したデジタルトランスフォーメーション(DX)の進め方を
探求しています。日本のDX推進にはいくつかの課題が存在しますが、これらは適切な戦略と
理解によって克服してきたいと思います。
トップダウンのアプローチはコスト削減に繋がりますが、ボトムアップの場合は逆にコスト
が増加する傾向があります。日本でのデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組み
がしばしば失敗する一因は、このボトムアップ型のアプローチにあると私は考えています。
欧米では、DX推進をトップダウンでおこない、その取り入れた仕組みに人を合わせて配置
します。当然、人件費の改善は、目に見えて分かりやすく、目的も明確です。成果がパーセ
ンテージで表現できることでしょう。システムを変更する際に人員配置の変更・解雇も当然
のように行います。
しかし日本では、ガラパゴスシステムに代表されるように、企業はシステムを自社に合わせ
て変更・複雑化する傾向があります。そのためにAIが人の代わりを担うのに時間がかかり、
人員配置や削減を行わずにDXを推進しようとするために、効率化やコスト削減は期待できな
くなります。
組織的なパラダイムシフトを起こすためには、人々の「慣れ」や「ルーチン」を打破する必
要があります。これはボトムアップアプローチでは難しく、組織の壁を越えた変革が必要で
す。そのためにはトップダウンのアプローチが欠かせません。
しかし、日本におけるトップダウンは十分に機能していません。これは、単にITやAIのリテ
ラシーを持つトップ層が不足しているからだと思われます。日本の平均年齢は現在約48歳、
実質的には50歳近くです。社会が硬直化するのと同様に、企業もその影響を受けています。
イーロン・マスクが日本の高齢化に言及していることもありますが、高齢化だけでなく、
トップの学習能力の低さも大きな問題だと感じます。
日本のボトムアップアプローチは、時に多くの費用を必要とします。新しい方法への適応に
は時間と理解が必要です。ここで重要なのは、日本独自のビジネス文化とプロセスを尊重し
つつ、新しい技術やアプローチを採用することです。
DX成功の鍵は、システム変更時の人員配置にも表れる、欧米とのアプローチの違いを理解す
ることにあります。日本企業は従来、既存のシステムに合わせて調整することが一般的です
が、DXでは柔軟な思考と適応が求められます。日本の長い歴史と豊かな文化を生かし、DXを
効果的に推進する方法を模索することで、困難を乗り越え、明るい未来を築くことができま
す。海外では、トップダウンによる最初の決断になりますが、日本のボトムアップの場合、
トップの決断は最後になります。いずれにせよ、トップのIT,AIのリテラシーを磨くことが
今後の会社、組織、日本の未来を担うことになると思います。