大企業に起業家は必要か?(日本のDXの遅れの理由)
一昔前に比べて、大企業で「偉人」と称される人物が、随分と少なくなったように感じます。
かつては大企業の中にも尖った個性を持つ人物や、「出る杭」と呼ばれるような挑戦的な人が
多く存在しました。しかし、現代ではルールやコンプライアンスといった規範によって、その
ような人材が取り締まられ、活躍の場が限られているように見受けられます。
尖るということは、ただ無駄に突っ張ることではありません。筋の通った主張や行動を持つ
「ツッパリ」が求められます。イノベーションとは、自社のサービスや商品を社会の変化に適
応させ、さらに発展させることです。そのためには、組織変革が必要です。社内の体制だけで
なく、社会の体制も変えていくことが求められます。
このような変革を実現できるのは、一本筋の通った「変人」と言われるような人物です。彼ら
は既成概念を打破し、新しい価値を創造する力を持っています。しかし、残念ながら、現在の
大手企業にはそのような風土が薄れているように感じます。私がその理由と思えるのが、日本
のDX化の遅れです。
AIの改革など、大手企業であれば多くの改善点がすぐにできるはずなのに、外部に新規事業を
求めます。内部をDX化するだけで、どれだけの変革が生まれるか計り知れない大企業が山ほど
あります。この遅れは、尖った人材が大企業にいなくなってきていることの表れのように思い
ます。
大企業には、規範やルールが必要であることは確かです。しかし、その一方で、イノベーショ
ンを起こすためには、規範に縛られない自由な発想と行動力を持つ起業家精神が必要です。現
代の大企業において、果たして憧れの上司と呼ばれるような人物がどれほど存在するのでしょ
うか。
真の変革を求めるならば、大企業は起業家精神を持った人材を育てそのような風土を再び醸成
する必要があります。組織の安定とイノベーションは相反するものではなく、両立することで
初めて、持続可能な発展が可能となるのです。