必死に生きれば、だれかが応援してくれるという真実
今は、ドン・キホーテのグループに入ってしまいましたが、GMSの旧ユニーさんとは、過去、お付き合いがありました。
私が警備会社を経営していた時に大変なお世話になった会社です。
私がまだ20代だった頃、ユニー日吉店を中心に、ユニーさんが北関東に出店する時に警備をさせて頂きました。
今、考えると何も分からない20代の社長に良く任せてくれたものだと思います。
必死にやってお取引を5店舗ほど広げさせて頂き、ユニーさんだけで登録の警備員は100名を超えていたと思います。
その当社の基幹店である日吉店で事件がありました。
私は突然、日吉店の店長に呼ばれて店舗にお伺いしました。
店長は私の顔を見ると無言で付いてくるように顎で促されました。
連れて行かれたところは、警備員の私ですら今までに一度も入ったことの無い屋根裏部屋のようなところで、全く誰もいない場所です。
何が起こるのだろうと思いましたが 店長は
「先ずは、これを見てくれ」
とあらかじめ置かれていたテレビのビデオを再生しだしました。
そこに映っているのは、当社の警備中の警備員でした。
隠し撮りされているのは明らかで、最初は何が始まるのかと思いました。
そのビデオは従業員用の駐車場が撮影され、自動車が映し出されています。
そこに当社の警備員が現れ、あたりを見回す仕草をすると、なんと、自動車に小銭でしょうか…自動車に、傷をつけているではありませんか??
私は言葉を失いました。
店長は
「社員の自動車にキズをつける輩がいて、もしかしたら、社員か警備員ではないかと話が出て、俺が個人的にカメラをつけてみた。」
と言われました。
なんということか!!本来であれば、警備会社が警備すべきところを完全に信用されず、しかもその予想通りに警備員がとんでもないことをしている。
信じられないが、目の前で起きていることは真実だ。
恥ずかしさやショックでとにかく、言葉が出ない。どうしていいかまったくわからない。「終わった」とも思いました。
私は、店長の言葉を待つしかありませんでした。
しばしの沈黙の後、店長は
「なんでこんな場所に連れてきたか、わかるかい?」
私は、まったく意図を理解できず、答えが見つかりませんでした。
「彼には問題があるが、それ以外の警備の人は、本当に真剣に良くやってくれている。
この事は本部には報告しない。ただ、被害にあった人には、弁償をして欲しい。他の社員にも言わない。」
とまったく予想をしない言葉を店長に頂きました。
私は、頭が真っ白というのはこのことかというぐらい、どうして良いか分からなくなってしまいましたし、何を喋ったか覚えていません。
とにかく精一杯の謝罪と感謝の気持ちを表現したと思います。
今時の会社の経営の中では、このようなルールを曲げてでも対応ができる人は、少なくなってしまったと思います。
ただ、必死に頑張っている社員がいれば、誰かがルールを曲げてでも応援してくれることが起きるものなのです。
これは、私の人生の中でも何度も、何度も経験をしてきたことであり、真実の一つです。
それ以来私は、とにかく必死に仕事をしました。以降、ユニーさんからのクレームはなかったと思います。
ユニーさんには、このような人がたくさんいて、私のような若い経営者にも良い経験をさせてくれました。
その後もユニーさんとは、出向者を受け入れて頂いたり、新しい企画を進めたり、本当にユニークなお付き合いをさせていただきました。
残念ながらユニーを大会社に育て上げた西川会長が2015年に亡くなられて組織が瓦解してしまいましたが、よき経験をさせて頂いた1社でした。