答えを持つ生き方
私たちは毎日、何かを選びながら生きています。
朝起きる時間、昼食のメニュー、仕事の優先順位…。その選択を積み重ねて、
今の自分ができています。
先日、海外の取引先との打ち合わせの場で、印象深い出来事がありました。
私は、当社のシステムやサービスを導入するための説明を終えた後、担当者にこ
う問いかけました。
「このソリューションを導入するには、御社の組織自体も変革が必要になります。
それが可能でしょうか?」
この種の質問に、日本ではよく「上に確認します」や「検討します」という答え
が返ってきます。
私は正直、「分からない」と返ってくるだろうと予想していました。
しかし、その担当者は違いました。自分の意見として、はっきりと回答を返して
くれたのです。しかも、要点を押さえた的確な答えでした。
私は心の中で「素晴らしい」と思いました。
判断し、自分の意見を持ち、行動できる人。
この瞬間、日本企業の多くが抱える「決断の遅さ」「動きの鈍さ」「変化を恐れ
る習慣」を痛感しました。そして同時に、「こういう環境なら人は育つ」と確信
したのです。
■ 選択は文化が決める
この出来事を通じて、選択の文化的な違いについて改めて考えました。
アメリカでは「自分で選ぶこと」が尊重されます。決断は「個人の自由と責任」
の象徴。一方、アジアの文化では「家族や集団のために選ぶこと」が大切にされ
ます。決断は「和(調和)」と「全体最適」を重視する行為です。
どちらが良い悪いではありません。
人は生まれ育った文化に合わせて、選択の意味をつくっているのです。
自分の考えを持つこと。
そして、恐れずにそれを口にすること。
変化の多い今の時代、これこそが新しい「選択の力」ではないでしょうか。